ラニーニャ現象発生時、本州では寒冬傾向があると言われますが、北海道ではその傾向はありません。では、雪が多くならないかというとそうでもなく、札幌や函館、そして道内での大雪の記録が生まれた年にはラニーニャ現象が発生していたのです。
前回は函館で降雪量史上1位! 道内の積雪記録も更新!
前回、ラニーニャ現象が発生した2017~2018年にかけての冬は、函館で寒候年(前年8月~当年7月)の降雪量が統計史上初めて500センチを超え、雪の捨て場にも困るような大雪となりました。また、上川地方の幌加内では積雪が2月25日に324センチに達し、北海道全体での記録を更新しました。
しかし、函館では降雪量が平年よりかなり多くなりましたが、その他は全般にほぼ平年並みで、札幌では平年よりかなり少なくなりました。北海道全体で雪が多かったわけではなく、局地的な大雪となった年でした。
札幌でも降雪量1位はラニーニャの年 自衛隊へ災害派遣要請も
札幌でもラニーニャの冬の大雪は他人事ではありません。札幌の寒候年の合計降雪量が最も多かったのは1996寒候年(1995年8月から1996年7月にかけて)の680センチですが、実はこの時も、ラニーニャ現象が発生していたのです。この冬の北海道では、96年1月に低気圧が非常に発達しながら北海道付近を通過した影響で記録的な大雪や暴風雪となり、8日、9日の2日間で札幌では59センチ、小樽では89センチの降雪を観測。9日には札幌市や小樽市などの道央圏で交通網がマヒし、自衛隊へ災害派遣要請を行ったほどでした。
ただ、この冬も、札幌や小樽と同じ日本海側でも旭川は平年並み、稚内は平年より少ない降雪量となるなど、地域によって雪の多寡に差が大きく出ました。
局地的大雪 偏西風の蛇行と低気圧が原因か
ラニーニャ現象が発生した冬の降雪量に地域差が大きくなる理由として考えられるのは、偏西風の蛇行や低気圧の影響です。
前回のラニーニャ発生時も、偏西風が例年より南へ蛇行したことによって、強い寒気は北海道ではなく本州に流れ込みやすくなりました。そのため、北海道付近の冬型の気圧配置は例年と比べて弱まり、低気圧が北海道付近を通過、または付近に停滞する例が多くなりました。低気圧による雪は冬型の気圧配置による雪に比べて、短時間で降雪が強まることが多い上、全般に範囲が狭くなるため、局地性が高まりやすいのです。そのため、全体的には平年並み、平年より少ない降雪量となっても、ピンポイントでの豪雪、ドカ雪となる例が多くなると考えられます。 今回のラニーニャ現象は冬にかけて続く可能性が高くなっており、北海道は例年に比べ、冬型の気圧配置になりづらく低気圧の影響を受けやすい予想となっています。この冬も道内で局地的な大雪が発生するかもしれません。日々の気象情報をしっかりと確認し、雪に備えることが必要になるでしょう。
日本気象協会 北海道支社 岡本 肇
Source : 国内 – Yahoo!ニュース