大阪府の吹田、豊中両市にまたがる千里ニュータウンは日本初の大規模ニュータウンとして開発されました。先頭を走ってきた千里が抱える課題の多くは、各地のニュータウンも直面することになります。千里のこれまでと将来像について、どう考えるのか。「千里ニュータウン研究・情報センター」共同代表の太田博一さん(75)に話を聞きました。
――ニュータウンは「画一的で面白みがない」という見方もありますが、育った人が外に出て良さがわかるという話を聞きます
ある住民が地域の運動会でクロスカントリーをやりましたと会社で話したら、「一体どんな所に住んでるんだ?」と。千里では、車が通らない歩行者専用道がぐるりとまちを一周しているからできるんですね。車社会の到来を予測して、安全のために「歩車分離」を徹底したのです。
計画的につくられたまちなので、人間の思想がよく表れます。住民間の交流が生まれやすいように、広場を囲むように立つ集合住宅も多くありました。
――老朽化した住宅の建て替えが進み、まちの姿は大きく変わりました
1962年のまちびらきから60年が経ち、新しいマンションが次々に建っています。ただ、1級建築士で、各地の住宅地計画に携わった太田さんは懸念していることがあるといいます。
千里の全住宅の約85%は集…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル