安倍晋三元首相の銃撃事件を受け、福岡市教育委員会が7月12日、全ての市立学校長宛てに半旗(弔旗)の掲揚への「配慮」を求める文書を出していました。東京都や北海道帯広市、川崎市、仙台市、大阪府吹田市、山口県などでも、同様の要請が学校に通知されていました。9月には安倍元首相の国葬が予定されるなか、政治と教育の関係をどう考えればいいのでしょうか。教育行政学を研究する中嶋哲彦・名古屋大名誉教授に聞きました。
――半旗の掲揚を求める教育委員会(教委)から学校への通知をどう見ますか
問題は二つあります。一つは教育の政治的中立性を揺るがす行為であるということ。もう一つは要請という形を取りながら、実際には学校側が応じざるを得ない強制のようなかたちになっていることです。
――政治的中立性の点でどんな問題がありますか
7月に執り行われた安倍晋三氏の葬儀は、家族で営まれた個人的なものでした。また、日々、政治家を含めいろいろな方が亡くなっているが、一般に学校では弔意が示されることはありません。
もちろん安倍氏の銃撃事件自体は痛ましいものですが、その政治的な業績を肯定的に評価するか、否定的に評価するかは国民の間でも議論が分かれるところです。弔意を示すことは、学校側として安倍氏に肯定的な評価を示すことになりかねず、問題です。
――法的な問題は
公教育では、子どもに対して…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル