塩まきはお清めだが、南極の昭和基地では、砂まきが遠来の客人を迎える準備だ。積もった雪をとかして地面を出し、車で走れる道をつくる夏の作業だ。
交代する観測隊を載せた南極観測船しらせは2020年11月20日、日本を出発する。到着まで約1カ月、私たち61次越冬隊は荷造りはもちろん、除雪を急がなくてはいけない。しらせが着けば、61次隊が持ち帰る荷物を船へ、62次隊の荷物を基地への大輸送が始まる。海氷上は雪上車がひくそりに載せて、陸上はトラックで運ぶため、タイヤの車が走れるよう「道路」になる所を除雪する。
太陽が沈まない白夜は21日に始まった。機械隊員たちは日中と夜間の交代制で重機を走らせ、茶色の地面を出す。ドローンの映像で空から見下ろすと、南極らしい風景はみるみる消えていく。「白い世界が汚れていく」と内心、残念だが、機械隊員の激務の成果だ。声に出しては言えない。
私も手伝わなくては。スコッ…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル