詐欺容疑で18日に逮捕されたジャパンライフ元会長の山口隆祥容疑者(78)。強引な営業手法は1970年代から国会で問題視され、捜査関係者からは「マルチの帝王」と呼ばれた。ただ「顧客の幸せと健康のため」と取り合わなかった。著書には「金を儲(もう)けるのが人生の目的」と書いていたが、一体どんな人物なのか――。
山口容疑者は42年、群馬県伊勢崎市で生まれた。高校を卒業し、県内の自動車工場で働いた後に独立。71年には東京都で健康商品販売会社を創業した。ただ、新たな客を誘うと報酬がもらえるような「マルチ」の手法などと疑われ、75年5月の衆院特別委員会に参考人として呼ばれた。山口容疑者は「マルチではなくフランチャイズ」などと弁明したが、翌年に倒産した。
ジャパンライフの設立は75年。高級布団や健康器具を顧客に売り、85年に再び国会で「マルチまがい」と指摘された。家庭用磁器商品の「オーナー商法」を始めたのは03年ごろ。全国を飛び回り、ホテルなどで経済情勢や政治をテーマに「講演会」を繰り返した。数百万円単位の磁気ベストや磁気ネックレスがよく売れ、17年までに全国に約80カ所の営業所を設けた。各地に代理店も作った。
元部下によると、武器は「話術」。時勢にあった話題で関心を誘い、不安をあおった。地方銀行が潰れると「銀行にお金を預けてはいけない」、マイナンバー制度が社会問題化すると「国に財産を把握され、取られる。うちで運用すればよい」といった調子。顧客や元部下は「とにかく話がうまい。メリハリがあって聞く人は引きこまれた」「同じセールストークでも会長と社員は全然違う。世間話で人の心をつかむ。会長が言うなら、と買う人もいた」と振り返る。
顧客や部下、「とにかく話がうまい」
関心を持った人には個別に自社…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル