「なんとか議席を守らせてほしい」。京都選挙区(改選数2)で再選を目指す共産党現職、倉林明子(58)は参院選が公示された4日、京都市中京区でこう声を張り上げた。
かつて「自共の指定席」と言われた同選挙区。だが、二大政党制の流れの中で旧民主系が勢力を拡大し、共産は平成16年から9年間、議席を失った。それだけに、倉林が前回獲得した議席の死守は「最重要課題」(府委員会幹部)。志位和夫委員長は公示前に3カ所、公示翌日の5日にも京都に入り、「前回選挙の1・5倍の得票で、必ず押し上げてください」とげきを飛ばした。
ただ、倉林が初当選した6年前は7人が乱立した混戦で、「共産が勝ちきったというよりは、他党が自滅した」(自民党府連幹部)ともいえる。3年前の参院選では、共産候補の得票数は6年前の倉林とほぼ同じ21万票台だったが、自民、民進党(当時)の両現職に20万票近い差をつけられて大敗した。今回、倉林の陣営は「1・5倍でも足りないくらい」と危機感をあらわにする。
一方、共産からの議席奪還をかけて一本化した旧民進系にも懸念はある。国民民主党は昨年10月、国民府連会長の前原誠司元外相の秘書の擁立を発表したが、12月に立憲民主党府連会長の福山哲郎・党幹事長が増原裕子(41)の擁立を発表。候補者調整は前原・福山の「代理戦争」の様相を帯びた。
4月になって国民が折れて増原に一本化したが、国民の増原への支援は「推薦」ではなく「支持」。国民府連幹部からは「あくまでその範囲で動く」と距離感をにおわせる声も聞こえる。公示日には前原も増原の第一声に駆けつけ「非自民、非共産の力を結集し、議席を奪還しよう」と“しこり”解消を呼びかけた。
2陣営を迎え撃つ自民現職の西田昌司(60)は、前回約39万票を獲得しトップ当選。今回も陣営は「公明党と合わせて45万票」との目標を掲げる。
ただ、西田本人は安倍晋三政権の方針である消費税増税に公然と反対。連立を組み推薦する公明は軽減税率を主導しており、地元市議からは違和感を指摘する声も上がる。公示日、西田の応援に駆けつけた党重鎮の伊吹文明・府連常任顧問は、自民が歴史的大敗を喫した12年前の参院選を振り返ってこう呼びかけた。
「12年前の参院選で負けた後、衆参ねじれが起こり、われわれは残念ながら野に下った。参院選でもたもたすれば、衆院選は必ず負ける。だから、圧倒的に当選させねばならない」
(文中敬称略)
4日の公示以来、舌戦が展開されている参院選。激戦区の情勢を追う。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース