最大震度7を観測した能登半島地震の被災地で木造家屋の倒壊が相次ぐなど、少なくとも3万棟を超える住宅の被害が出ている。被災地は高齢化が進み、耐震基準を満たさない住宅の割合が高かったほか、公表された今回の地震による死亡の状況をみると「家屋倒壊」が約9割を占めており、その被害をいかに抑えるかが課題となっている。ただし耐震化の現状は地域差が大きく、専門家は行政による支援の強化を訴える。
昔ながらの木造の建物が並んでいた石川県輪島市の市街地では、いたるところで住宅が崩れ、瓦や柱が散乱していた。山下八郎さん(75)の祖父が建てたという築60年の木造2階建て住宅も壁がはがれ落ちた。「耐震補強をしておけばよかったかもしれんけど、そんな金もなかったし……」
県の発表によると、地震による住宅の被害は22日時点で3万7千棟にのぼる。被害が大きかった地域は情報収集が追いつかず、被害規模はさらに膨らむ可能性がある。
東北大学災害科学国際研究所の研究者らは地震発生後、現地を調査。七尾市や穴水町で被災した約400棟を確認したところ、ほとんどが現行の耐震基準が適用される1981年より前に建てられた木造住宅だった。分析中だが、穴水町では調査した建物のうち2割が倒壊していたという。
耐震化に地域差、建て替え活発な都会
耐震基準は「震度6強~7でも倒壊しない」強さが求められているが、基準を満たす住宅の割合(耐震化率)は輪島市で45%(2022年度)、珠洲市で51%(18年度)と、全国の87%(18年)を大きく下回る。
さらに、能登地方では23年…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル