阪田隼人
世界遺産・法隆寺(奈良県斑鳩町)の参道脇の観光バス駐車場にある円形の植え込みから、横穴式石室や副葬品が確認され、9日、発掘成果を一般の人に公開する現地説明会が開かれた。植え込みが実は古墳だったと判明した意外性が話題を呼び、約700人もの参加者でにぎわった。
古墳は以前、樹木に覆われ、裾は石垣で囲まれていて、一見すると普通の植え込みにしか見えなかった一方、地元には「クスノキの舟」が出土したとの言い伝えがあった。「舟塚古墳」と呼んでいた町教育委員会は木棺が埋葬されている可能性があると考え、奈良大とともに昨春、発掘調査を開始。横穴式石室が見つかり、床からは鉄刀2本や矢じり、馬具、琥珀(こはく)玉、須恵器など多数の副葬品が出土した。
意外性のある調査結果が広く報道されたためか、この日の説明会には、町教委の想定以上の人々が足を運び、用意していた資料が足りなくなって急きょ印刷する事態になった。
参加者らを前に、奈良大文化財学科の豊島直博教授(考古学)は「最初の発掘調査の時は正直、古墳かどうかよくわからず、乗り気ではなかった」と半信半疑だったことを明かした。
出土した土器の年代から6世紀後半の古墳で、刀の配置などから「埋葬されているのは2人で、小豪族と推定している」と説明。今後について「石室の構造を詳しく調べ、この古墳から藤ノ木古墳(国史跡)や法隆寺にどのように歴史がつながっているのか、解明していきたい」と語った。
SNSで知り、訪れたという大阪府茨木市の山田めぐみさん(46)は「当初は専門家でも半信半疑だったが、伝承と実態が一致するという歴史のロマンを感じました」と話していた。(阪田隼人)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル