ケース③「ママの気持ち翻訳」
菓子大手の江崎グリコは2月、子育て用アプリ「こぺ」の宣伝サイトを立ち上げました。アプリ自体は、夫婦がともに育児することを後押しするのが目的です。夫婦でメッセージをやりとりする機能のほか、妊娠や育児に関する記事を読んだり、育児記録をつけたりできるアプリです。
炎上したのは、アプリの宣伝サイト内の表現でした。
「パパのためのママの気持ち翻訳」と題し、妻が怒ったときの言動を8パターン紹介。「一緒にいる意味ないよね」の言葉の本心は「私のこと、どう思ってるのかな?」、「これするの、大変なんだからね!」の本心は「感謝してね♡」。「仕事と家庭どっちが大事なの?」には「寂しい思いをさせてごめん、と謝って。ママに仕事のグチを打ち明けてあげよう」という「翻訳」が紹介されました。
監修は、「理不尽な妻との上手なつきあい方」などを取り上げた「妻のトリセツ」著者の黒川伊保子さん。夫婦の気持ちがすれ違う理由を「男性脳と女性脳では回路のかたちや記号の種類がちがうから、おなじ入力に対しての出力も変わってくる」とつづりました。
グリコがツイッターでアプリを宣伝すると、SNSなどでは「ステレオタイプ」「女性蔑視丸出しの広告」といった批判が広がりました。批判を受け、グリコは「男性脳、女性脳」や「翻訳」のコンテンツを取り下げました。
女性にまつわる表現をめぐり、企業の広告がネットで炎上するケースが相次ぎました。「なぜ炎上したのかわからない」とつぶやいた2人の男性記者の疑問を解くべく、ジェンダーや企業広告に詳しい治部れんげさんを訪ね、広告のケースごとに議論しました。
社会構造の問題を「男女脳」に転嫁
ケン これ、妻との会話で思い当たるふしがあります。「言い得て妙だな」と納得したものも正直、いくつかありました。
治部 この広告にはそもそも、「…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル