秋は行楽シーズン。楽しみのひとつがキノコ狩りだ。私も山々に抱かれた岩手県で勤務していた駆け出し記者時代、取材先から「行かない?」とよく誘われた。
でも、キノコは決して秋だけのものではない。なにしろ日本には、わかっているだけで約3千種のキノコが自生する。キノコ狩りも、実は四季を通じて楽しめる。
栃木県壬生町にあるキノコの種菌(しゅきん)生産会社「北研」。川嶋健市会長は子どものころから父親とキノコ狩りによく行った。
「野山に入って、宝探し。珍しいキノコに出会う感動は何にも代えられません」
壬生町など県中南部でなじみ深いキノコを尋ねると、「春はウメハルシメジ、夏はチチタケ、秋はウラベニホテイシメジ、サクラシメジ、マツタケ、冬はエノキタケ……」。名前が次々にあがった。
とくに夏に採れるチチタケは古くから県民に親しまれ、炒めてうどんに入れると、いいダシが出るという。傷つけると乳白色の液体がしみ出るのが名前の由来。地元では「チタケ」とも呼ばれている。
秋のウラベニホテイシメジは同県内でも南部の足利市や、隣接する群馬県桐生市など「両毛地区」で好まれるそうだ。
かさの直径が7~15センチと、ボリュームたっぷり。「独特の苦みがあり、ほかの地区の人はほとんど食べない。まさに足利市やその周辺の『ソウルフード』です」
そう話す川嶋さん自身、桐生市で生まれ、足利市で育った。キノコ狩りは各地のソウルフードと出会える行楽でもある。
トリュフの仲間、日本でも
日本では近年、各地でトリュフ…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル