パリのノートルダム大聖堂や首里城(那覇市)の火災を受け、文化庁は23日、世界遺産や国宝などの防火対策のための5カ年計画を策定した。2024年度までに集中的に進める内容で、首里城のように建造物そのものは国宝や重要文化財(重文)ではなくても、史跡などにたつ復元された建造物も対象とする。
計画では、建物の立地や部材に応じた設備や点検、巡回体制などを示した9月につくったガイドラインに沿って防火対策を進める。中でも世界遺産や国宝の建造物を優先的に進めることとし、スプリンクラー設置などの補助率を最大85%とする対象を今より広げる。
国宝・重文指定の建造物は消防法で自動火災報知設備の設置が義務づけられているが、指定されていない復元建造物や神社や寺、あずま屋などは対象外。沖縄の本土復帰後に復元された首里城も、地下遺構は史跡で周辺の遺構とともに世界文化遺産に登録されたものの、建物は指定されていなかった。首里城火災後の文化庁の緊急調査では、世界遺産の史跡や名勝などにたつ復元建造物55棟のうち25棟が自動火災報知設備を設置していなかった。文化庁はこれらも、補助の対象とする方針。(上田真由美)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル