椎葉村で昨年9月に起きた土砂災害で、崩れた土砂にのまれた建設会社長の相生秀樹さん(71)は一緒にいた妻子と従業員2人を失った。「何でおれだけ助かったっちゃろか。それが情けなくて……」。自責や後悔の念に押しつぶされそうになりながら、今も被災現場のそばで暮らしている。
土砂災害から1年となった6日、現場には献花台が設けられ、4人の捜索にあたった消防団員や村内外の建設業者らが次々と訪れた。相生さんは朝、被災現場から数百メートル離れた対岸の仮設社屋前で黙禱(もくとう)をささげ、「これからもみんなと共に頑張っていきたい」と従業員に語りかけた。
昨年9月6日夜、「過去最強クラス」とも言われた台風10号が九州の西側を北上。周辺地域での豪雨被害に備え、椎葉村下福良の十根(とね)川右岸にある「相生(あいおい)組」の社屋兼自宅で、妻勝子さん(当時68)、長男泰孝さん(同39)、ベトナム人技能実習生のグエン・ヒュー・トアンさん(同22)、チャン・コン・ロンさん(同23)と待機していた。
真っ暗になった視界 「ああ、死ぬんだ」
早めに夕食を済ませてテレビを見ていたら、食器を洗う勝子さんに「はよ風呂に入って」と促された。事務所にいた泰孝さん、実習生2人を残し、浴室に向かった。
ほどなく「ドーン」という音…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル