国が昨年度から始めた修学支援制度により、低所得世帯の大学・短大などへの進学率が10ポイントほど上がったとみられる、と文部科学省が先月明らかにした。入学金や授業料を減免したり、給付型(返済不要型)奨学金を支給したりする制度だが、塾代や受験料などの負担が重く、そもそも受験自体ができない高校生もいる。受験のための費用を独自に支援する民間団体は、公的支援の拡充を求めている。
「高校生への公的支援があまりに少ない。私たちの奨学金制度は、それを社会に投げかけるきっかけになればという思いもある」
4月13日、貧困家庭の子の学習を支援するNPO法人などが記者会見し、認定NPO法人キッズドア基金(東京)の松見幸太郎代表理事は、こう訴えた。
同基金と、NPO法人キッズドア(同)は2020年度、新型コロナウイルスの影響で家計が急変した生活困窮家庭の高校生が進学を諦めずにすむよう、「受験サポート奨学金」として44都道府県の3年生284人に各5万円、2年生270人に各3万円を支給した。今年2~3月、支援した3年生と保護者にアンケートを実施。13日の会見で結果を公表した。
アンケートに答えた3年生は119人。うち8割近い91人が進学を決め、全員が「受験サポート奨学金が受験の後押しになった」と答えた。一方で、「受験する大学の数を減らした」「予備校・塾に通えなかった」「進学を諦めようと考えたことがある」「受験費用のためにアルバイトをした」「志望校を変更した」と答えた生徒は、いずれも4~6割に上った。
また、受験料の負担から、7割の生徒は1校のみを受験。奨学金の使い道は、受験料(25%)▽参考書・テキスト代(18%)▽入学金(13%)▽交通費(12%)の順に多かった(複数回答可)。
自由記述からは、「受験料が…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル