割れたり、欠けたりした器を漆で接着し、その継ぎ目を金粉などで飾る日本の伝統的な修理技法「金継(きんつ)ぎ」。その手法を学ぶ教室が人気を呼んでいる。ものを大切にするとともに、自分だけの器に作り直す――。その過程や、できあがったものに魅力を感じる人が多いようだ。
「新品の器より大事にします」
浅草・雷門にほど近いところにある金継ぎ教室「つぐつぐ浅草店」(東京都台東区雷門1丁目)。先月、火曜夜の教室を訪れると、仕事帰りの人が割れた器の修復作業に取り組んでいた。
この日は欠けたところを黒漆で「中塗り」したり、既に漆で継いだ部分を砥石(といし)の粉を混ぜた「錆(さび)漆」で整えたり、やすりで研いだりする技法について、「金継ぎ師」として教えることができるスタッフが、約1時間半にわたり指導した。途中まで修復を施した器は、漆が固まるのに適切な温度や湿度を保つ店内の「漆風呂」に保管され、回を重ねて作り直すという。
墨田区の会社員風間昭男さん(49)は、落として割れた茶わんの継ぎ目を研ぐ作業をした。お気に入りの器を金継ぎで直したいと教室に通う。「自分の手で新たな価値を加えるようで、新品の器よりも大事にすると思います。仕事のことを忘れて、没頭できるのもいいですよね」
「つぐつぐ」は恵比寿と浅草に2店舗あり、浅草店は昨年6月にオープン。受講生は自ら器を持ち込み、午前と午後、夜に週11コマ用意される講座から、自分のペースで受講日や回数を選ぶ。完成までは2、3カ月をかけて、5~6回程度通う人が多いという。女性が多いが、外国人観光客の体験参加も目立つという。
海外からも注目が高まる
金継ぎは室町時代から続く日…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル