緊急事態宣言が解除され、徐々に元の生活に戻りつつある日本。 海外との行き来も徐々に緩和され始めているが、心配なのは海外の流行地域との行き来でウイルスが再び持ち込まれることだ。 国際社会で鎖国をするわけにもいかない以上、私たちは何に気をつけたらいいのか。 公衆衛生や感染症を専門とする国際医療福祉大学医学部公衆衛生学教授の和田耕治さんに今後気をつけるべきことを聞いた。 ※インタビューは6月6日夕方にZoomで行い、この時点の情報に基づいている。
【BuzzFeed Japan Medical / 岩永直子】
海外からの持ち込みで再流行の可能性
ーー新型コロナウイルスは今、いったん落ち着いていますね。一方で、北九州や東京などでクラスターが起きています。また海外からの感染者もポツポツ増え、医療関係者から海外からの持ち込みによる感染爆発への心配の声も聞きました。今後、どういう感染拡大が考えられるでしょう? 一つには国内でくすぶっている感染者が徐々に見えてくる形があります。東京や北九州はそうです。もう一つとても心配しているのは、海外からの持ち込みです。 今は海外からの人の移動は日本も含めて多くの国で制限していますが、徐々に緩和しようとしています。 これまで例えばアメリカを往復する航空便は最低限は飛んでいました。今後は、ニューヨーク直行便も増便されますし、シカゴー羽田便も再開するという話があります。欧州便も再開します。航空会社も企業の命運をかけていますから、当然の流れだと思います。 その中でも海外から人が入ってくる、日本人が海外に行って戻ってくるということに関するリスクを考えておかないと、第2波として、3月に起きたようなことが再び起きる可能性があります。 3月からの流行はヨーロッパやエジプトなどから帰国してきた中で、我々の感染対策に関する生活習慣が十分変わっていないところもあってあって、夜の街から地域へ、そして医療機関や高齢者施設へと拡大した可能性があると指摘されています。 ーー第一波は中国ですね。 中国の湖北省からです。なぜこの1波の特に春節の機会に国内で流行が起きなかったか。おそらく感染者は入ってきていたのですが、日本人との距離が日本人同士よりは若干開いていたところがあったこともあり大規模な感染拡大にならなかった。そう個人的には思います。 しかし、小規模な流行はあったのではないかと考えています。検査も当時はまだ少なかったので。ある中国人留学生は1月の春節の前に、「ある東京のデパートの中国人対応のアルバイトの留学生の8人中6人がインフルエンザみたいな症状で休んだ」ということを当時言っていました。中国人同士ではもしかしたら感染はあったかもしれません。 3月に帰ってきた人たちは、海外に行っていた邦人が多く、家族や友人など日本人同士だと距離は縮まります。それで、徐々に家庭から友人や同僚そして市中に広がった可能性があります。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース