参院選が公示されました。コロナ禍、ウクライナ危機、価格高騰など、誰もが予想しなかった時代を生きる私たち。生きる源となる「食」を通じて、人々の思いを聞きました。
#食べる・生きる・考える
アサリやイカ、エビがたっぷりのった少し厚めの生地に、とろっとしたチーズがかかるシーフードピザ。ピザだけでも十分おいしいが、ビールを一緒に飲めば至福の時間となり、友人との会話も弾みそうだ。
このピザ、少し前までは「無言で食べる」ために作られたものだった。
店のオーナーは吉澤里絵子さん(37)。ゲストハウスとバーを併設した「Mad Cat Hostel Osaka&Bar」(大阪市阿倍野区)を営む。
看板猫 コゴとマルがお出迎え
古民家の長屋をリノベーション。カラフルな国旗と猫の看板が目印で、ドアを開けると、壁一面にヤシの木が描かれ、南国ビーチに来たようだ。コゴとマルという黒白の看板猫がお出迎えしてくれる。
20代前半から、世界各地をバックパッカーとして旅してきた。そこでゲストハウスに出会う。相部屋で低価格だが、たくさんの人と交流できた。旅するごとに友人が増える感じが楽しくて、いつか日本でもゲストハウスをやりたいと思った。カナダのゲストハウスで働きながら学び、インドに5年暮らした時もゲストハウスを手伝った。
2017年に帰国。温かみのあるゲストハウスを目指し、19年8月にオープンした。当時は「インバウンドバブル」と呼ばれるほど外国人観光客がいて、ゲストハウスも飽和状態に。ただ吉澤さんの所は、バーを併設し、看板猫2匹がいることで差別化をはかった。近所の人が外国人観光客とバーでお酒を飲むことも多く、交流の輪が広がったことがうれしかった。
その矢先の20年、コロナ禍に襲われた。海外客でほぼ満室だった予約はすべてキャンセル、開店休業状態に。支えてくれたのは近所の人たちだった。併設のバーに、どんなに短い営業時間でも来てくれ、応援してくれた。
翌年、さらに苦しくなった。府内で酒類の提供が禁止されたからだ。
もう何もできることがない でもなんとかしなきゃ……
訪日客は消え、バーも営業で…
【7/11〆切】スタンダードコース(月額1,980円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル