最後まで苦しみ抜いて勝ち取ったベスト8の喜びを、九州も分かち合った。13日に横浜市であったラグビーワールドカップ1次リーグ最終戦で古豪との接戦を制し、初の準々決勝進出を決めた日本。以前からのファンも今大会でラグビーの魅力に触れた人たちも、声をそろえて代表の健闘をたたえ、決勝トーナメントでの活躍に期待を込めた。
熊本市中央区のファンゾーンは入場が規制され、試合前から長蛇の列ができた。突き刺さるようなスコットランドの激しい防御に苦しみ、先制を許した前半。連続トライで逆転すると、地鳴りのような歓声が起こった。友人と来た同市西区の中学3年隈部扇成(せんなり)さん(15)は「思わず鼻血が出てしまった」。日本の全試合をファンゾーンで見守ってきた南区の会社員安栖(やすずみ)壮さん(29)は「さすが日本代表」と笑顔を見せた。
「けんきー、行っけえー」。前半終了間際、福岡県古賀市出身の福岡堅樹選手がトライ。同市のパブリックビューイング会場に詰めかけた約400人は「やった」と抱き合って喜んだ。モニター画面の前には、福岡選手ら日本代表選手を模した博多人形。制作した人形師の鶴田加奈子さん(41)=同県福津市=は「福岡選手は試合ごとに勢いを増しているみたい」と目を細めた。
大分県佐伯市の日本文理大付属高出身のプロップ具智元(グ・ジウォン)選手も先発出場。前半途中で交代するまで屈強な相手と真正面から渡り合った。大分市のJR大分駅南側のファンゾーンで観戦した会社員、飯畑裕さん(38)は「全試合で体を張って勝利に貢献してきた大分の誇りです」。
スコットランドの猛攻を懸命のタックルでしのぎ続けた後半。「立って、立ち上がって」。福岡市のJR博多駅前広場のファンゾーンには祈るような声が響いた。そして、ノーサイドのホイッスル。福岡県那珂川市片縄小2年の渡辺将真君(8)は「最後まで必死に戦っていて、感動した。僕もラグビーをやってみたい」と目を輝かせた。
苦闘の末の1次リーグ全勝。「過酷な練習を間近で見てきたからこそ、絶対に勝つと信じていた」と、日本代表の合宿を受け入れてきた宮崎県のラグビー協会理事山口雅博さん(68)は力を込めた。「目標達成は見事。宮崎合宿を思い出して初心に帰り、決勝トーナメントも戦い抜いてほしい」(今井知可子、岩谷瞬、山本諒、長田健吾)
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース