日本航空と海上保安庁の航空機が衝突した1月の事故では5人が死亡した。公共交通機関の大きな事故は後を絶たない。事故遺族らでつくる「組織罰を実現する会」は組織を罰する仕組みが必要だと訴える。会の事務局を務める津久井進弁護士に遺族の思いと組織罰を導入する意義を聞いた。
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死亡事故など重大な事故を起こした組織に刑事罰を科すことをめざす「組織罰を実現する会」の事務局をしています。事故の遺族らでつくるこの会が設立されたきっかけは、107人が亡くなった2005年のJR宝塚線(福知山線)脱線事故です。
この事故ではJR西日本の歴代社長4人が業務上過失致死傷罪に問われましたが、無罪となりました。一方、裁判では「自動列車停止装置(ATS)整備のあり方に問題があり、大規模鉄道事業者として期待される水準に及ばないところがあった」とされ、組織的な問題があったことははっきりしました。
業務上過失致死罪は個人の責任は問えても、組織の責任は問えない。最愛の家族が犠牲になって誰も罰されない。民事の賠償さえすれば許されてしまう。それでは、納得できない遺族もいます。二度と同じことが起きてほしくない。誰にも同じ悲しみを味わってほしくない。会を立ち上げた遺族の思いです。
「刑事罰があると真実を語れない」のか
組織罰は、事故を起こした企業・団体に高額の罰金を科すことを想定します。現行法には、例えば労働基準法のように、直接の責任者とともに法人の責任を問う「両罰規定」という仕組みがあります。業務上過失致死罪にこの規定を設ける特別法を作り、組織罰を実現したいと考えています。また、事故防止のため十分な安全対策をしていたと立証できれば免責されることも盛り込みます。
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル