首都圏1都3県を横断し、埼玉県内を東西に結ぶ道路(核都市広域幹線道路)の建設計画がじわりと進んでいる。交通や物流がより便利になり、沿線自治体のまちづくりや活性化への期待も高まる。
大宮をヒト、モノの結節点に
三陸沖でとれた真サバや、生スルメイカ、岩手や青森で作られた見慣れない紫白菜や山東菜……。
大宮駅東口(さいたま市大宮区)にある地域の交流拠点「まるまるひがしにほん」で10月13日、東北エリアでとれた鮮魚や野菜、鶏肉を地域の飲食店に紹介する食材商談会があった。
居酒屋や洋食店の経営者が訪れ、バイヤーの説明を聞いて試食。早速、注文を入れる人もいた。大宮区で食堂を経営する男性は「珍しい食材は新メニューの発想に役立つ」と満足げだ。
鮮度が求められる食材が多く大宮に集まるのは、交通利便性が高いからだからだ。
商談会で販売促進を請け負う担当者は「食材輸送のコストや手間に道路事情の影響は大きい」と語る。
大宮駅は東北や上越、北陸といった新幹線と在来線が乗り入れる。新幹線の東京―大宮間は運行が過密ぎみで、2017年度からは大宮始発の臨時便も出始めた。
JR東日本によると、大宮駅の乗降客数は19年度に1日平均25万7千人で全国トップクラスだ。秋葉原(24万8千人)や上野(18万3千人)の両駅を上回る。
道路も四方を東北道と関越道、圏央道、外環道で囲まれて輸送の適地だ。
整備構想が進む大型バスターミナル「バスタ大宮(仮称)」では、東北や上信越の乗降客が東京を経由せずスムーズに大阪や名古屋、成田空港のある千葉へ高速バスで移動できる効果も期待される。
大宮駅がハブ機能を果たせば、これら乗降客の「東京一極集中」を避けることもできる。さいたま市も、大宮を東日本の交通ハブとして強化したい考えだ。
清水勇人市長は10月12日の記者会見で「東日本全体の地域経済、地方創生の活性化につながる中枢都市をめざす。人やモノの結節点としての役割をいかに果たせるかが重要だ」と述べた。
渋滞解消の切り札となるか
課題は渋滞だ。大宮駅の近くを走る首都高が美女木ジャンクション(埼玉県戸田市)で交わる外環道は、慢性的な交通渋滞に悩まされる。
そんな県内の東西を結び、外環道の渋滞緩和に期待されて計画が進むのが「核都市広域幹線道路」(核都市道路)だ。
大野元裕知事は3月「県内の東西方向の道路網強化、広域防災力の向上、外環道や周辺主要道路の慢性的な混雑緩和につながる大変重要な路線」と歓迎するコメントを出した。
まちづくりにも効果を与えそ…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル