田添聖史
ハロウィーンの31日、大阪市の繁華街・ミナミには多くの人が集まった。ソウル市内の繁華街・梨泰院(イテウォン)で起きた雑踏事故で150人以上が亡くなったことを受け、警察が警戒態勢を強める中、仮装姿の若者らが行き交った。
観光地として有名な道頓堀の戎(えびす)橋。夕方から人が増え、午後7時ごろには橋の中央では前に進むのが難しくなるほどの混雑が生じた。道幅が狭くなるスロープでは、大阪府警の警察官が「立ち止まらないでください。そのまま歩いてください」と繰り返し呼びかけたり、欄干から身を乗り出す人を止めたりしていた。
アニメの登場人物の仮装をした大阪市平野区の男性(23)は、友人2人と足を運んだ。戎橋に来るのは初めてで「せっかく新型コロナが収まってきたので、羽目を外したかった」。韓国の事故は「ひどいと思う」が、「ミナミはそこまで人は集まらないと思った」。
吹田市の女子大学生(19)は、友人4人とメイド服を着て訪れた。韓国の事故を知り「人が増えないうちに早めに来た」という。入学後、新型コロナでイベントがほとんど中止になったといい「楽しめる時に楽しみたくて、一番にぎやかそうな道頓堀に来た」と話した。
戎橋では、過去に川に飛び込む人がいたり、密集に乗じた痴漢や盗撮の事件も起きたりしている。府警はこの日、道頓堀や同じく若者が多く集まる「アメリカ村」を中心に約200人態勢で警備に当たった。
道頓堀で焼き肉店を営む男性(48)は「活気が戻るのはミナミらしくていいが、路上で酒を飲んで騒いだり川へ飛び込んだり、目に余る行為も多い」とうんざりした様子。「何事も安全第一。節度をもって、街全体で楽しめるイベントにしてほしい」と話した。(田添聖史)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル