自宅の窓を開けて、大音量でハードロックをかけたとして、京都市在住の男性がこのほど、軽犯罪法違反(静穏妨害)の疑いで、京都府警に逮捕された。
京都府警によると、男性は2018年8月から2019年3月にかけて計10回にわたり、京都市内の自宅で、警察官の制止を聞かずに異常に大きな音を出して、近隣に迷惑をかけた疑いが持たれている。
朝日新聞などによると、男性は自宅の窓を開けて、CDラジカセなどでハードロックをかけていた。警察の取り調べに「大きな音を流したのは間違いない」と話しているという。
今回の逮捕容疑となった「静穏妨害」は、あまり耳慣れないが、どのようなときに適用されるのだろうか。田沢剛弁護士に聞いた。
●軽犯罪法に定められた犯罪
そもそもどんな犯罪なのだろうか。
「軽犯罪法1条は、一定の事由に該当する者に対して『拘留又は科料に処する』と定めています。
そして、同14号に『公務員の制止をきかずに、人声、楽器、ラジオなどの音を異常に大きく出して静穏を害し近隣に迷惑をかけた者』を挙げています。これが『静穏妨害』の罪とされるものです。
(1)公務員の制止をきかないこと、(2)人声、楽器、ラジオなどの音を異常に大きく出して静穏を害すこと、(3)近隣に迷惑を掛けること――この3つを要件とする犯罪です」
過去の報道を調べてみると、深夜に「よさこい節」を歌ったために、「静穏妨害」で摘発されたケースがあった。
●相手が不眠症になったら傷害罪に問われる可能性も
時間帯や回数は、ポイントになるのだろうか。
「静穏を害するほどの異常に大きな音かどうかは、具体的な基準が定められているわけではありません。我慢できるものかどうか、社会通念で判断するしかありません。
昼間の時間帯では我慢できるような音であっても、夜の時間帯、ましてや一般的に就寝するような深夜の時間帯であれば、我慢できないと判断されることが多いでしょう。
1回だけであれば我慢できても、何度も繰り返されるようであれば、やはり我慢できないものと判断されることが多くなるでしょう」
もし、こうした大音量が原因で、近所の人が不眠症になったらどうだろうか。
「たかが騒音と言っても、その程度によっては暴行罪に問われる可能性もあります。さらに、近隣住民に不眠症など、神経疾患を発症させてしまった場合、より重い傷害罪(刑法204条)に問われる可能性が出てくることに注意が必要です」
【取材協力弁護士】
田沢 剛(たざわ・たけし)弁護士
1967年、大阪府四条畷市生まれ。94年に裁判官任官(名古屋地方裁判所)。以降、広島地方・家庭裁判所福山支部、横浜地方裁判所勤務を経て、02年に弁護士登録。相模原で開業後、新横浜へ事務所を移転。得意案件は倒産処理、交通事故(被害者側)などの一般民事。趣味は、テニス、バレーボール。
事務所名:新横浜アーバン・クリエイト法律事務所
事務所URL:http://www.uc-law.jp
Source : 国内 – Yahoo!ニュース