筋萎縮性側索硬化症(ALS)の女性患者への嘱託殺人などの罪で起訴された元医師の息子らと共謀し、自身の夫(当時77)を殺害したとして、殺人罪に問われた山本淳子被告(78)の控訴審判決が24日、大阪高裁であった。坪井祐子裁判長は、懲役11年とした一審・京都地裁判決を支持し、被告側の控訴を棄却した。
高裁判決によると、山本被告は、息子の直樹被告(46)=殺人などの罪で懲役13年判決、控訴中=と、その知人で医師の大久保愉一被告(45)=同罪などで起訴=と共謀。2011年3月、長野県内の病院に長期入院していた夫を退院させ、都内のアパートに移動させた後、殺害した。山本被告は、夫のアパートを下見したり、役所への死亡届を出したりするなどした。夫は死亡時に病死とされ、解剖を経ずに火葬された。
山本被告側は「殺害計画を具体的に認識していなかった」として無罪を主張した。だが、坪井裁判長は、山本被告が夫の死亡前に火葬場について調べていたと指摘。「計画段階からその実現に向けて動いており、重要な役割を果たした」と判断した。
この事件は、ALS患者への嘱託殺人事件の捜査過程で浮上し、夫の死亡から約10年後に立件された。直樹被告も一審判決を不服として控訴しており、今年12月25日に控訴審が始まる。大久保被告の公判はまだ始まっていない。(森下裕介)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル