東北電力女川原発2号機の再稼働について、原発の立地自治体からは再稼働による経済効果に期待を寄せる一方、重大事故時の広域避難計画の実効性を不安視する声もある。再稼働をめぐり揺れ動いていた被災地が、東日本大震災から9年8カ月を経て大きな節目を迎えた。 女川原発が立地する宮城県沿岸部の女川町は、漁業が主要産業。しかし、東日本大震災前には1万人以上だった町の人口は6254人(今年10月末時点)に減少し、過疎化が進む。女川町では原発関連企業も含めて2000人を超える関係者が勤務しており、県議会に再稼働賛成の請願を提出した女川町商工会の高橋正典会長(70)は「(再稼働の)経済効果への期待は大きい」と話す。 今年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で地元経済が疲弊する中、高橋会長は「人口減少が進む中、再稼働によって(原発関連の雇用増加で)交流人口の拡大が期待できる。また、工事事業者が来ることで、町の宿泊事業者も潤う」と指摘する。 地元からは再稼働の経済効果への期待が大きい一方で、県内の自治体からは広域避難計画の課題を指摘する声も上がっている。 原発の周辺道路は道幅が狭く、県の試算では原発5~30キロ圏内の19万人が一斉に避難した場合、渋滞などが5日以上続くと想定。同県加美町の猪股洋文町長は9日に開かれた市町村長会議で「避難計画には不安があり、結論を急ぐべきではない」として再稼働に慎重な姿勢を示した。 東北電が目指す令和4年度以降の再稼働には、実効性のある広域避難計画を含めて継続的な対策が求められている。(塔野岡剛)
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