東京都は3日、虐待や性暴力を受けるなどした女性を支援する2021年度の委託事業で、受託団体の会計処理の一部が不適切だったなどとして192万6085円を事業経費と認めない措置をとったと発表した。
ただ、認められる経費は委託料の上限を超えており、超過分は団体側が支出していた。このため、都が過払いした分はなく、返還請求はしないとしている。
受託団体は一般社団法人「Colabo(コラボ)」。過大計上を指摘する住民監査請求を受けた都監査委員が昨年12月、指摘の大半を「妥当ではない」とする一方、「妥当性が疑われる支出がある」などとして都に再調査を求めていた。
担当の都福祉保健局によると、再調査の結果、他の事業にも関わる税理士らの報酬は案分すべきだった▽一部の領収書の提示がない▽管理台帳の誤記――などを確認。該当分を除く2713万1千円を経費と認めた。委託料は2600万円を上限としていた。領収書の提示について団体に改善を指示するという。同局の担当者は「書類が不十分なものも含め不適切な経費計上があったことは遺憾。受託者には丁寧な事務処理を求めていく」としている。
都監査委員は、「事業として不適切なものがある場合などは過去の事業も精査し、返還請求などを講じる」ことも都に求めていた。福祉保健局は「委託料は2600万円が上限で、認められた経費は2713万円なので、事業としては適切な支出の範囲内。過払いは生じておらず、過去にさかのぼっての調査は必要ないと判断した」という。
法人代理人の神原元(はじめ)弁護士は「書類の誤記などはあったが、不正はないことがはっきりした」とコメントした。領収書を提示しなかった点は「女性のプライバシー保護のため」と説明し、今後の提出方法については「都と協議して対応する」としている。
福祉保健局は、この事業について、今年度は外部有識者のみで構成する委員会を設けて支出を確認するなどし、審査する。
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル