聞き手・高重治香
だんだん増えていく「自分より年下の人」との接し方に、戸惑うこともある中年世代。「我は、おばさん」の著者で文筆家の岡田育さんは、若い頃は嫌だった「今夜は無礼講」の意味に、40代になって気づいたそうです。
「年上というだけで、尊敬できない人にまで敬語を使わないといけないの?」と考えているような、生意気な子どもでした。学生時代、先輩は「1学年違ったら雲の上の人」でしたが、できるだけ敬語抜きで話す方法を考えていました。年上の人たちに対等だと認められたい気持ちも、あったと思います。
けれども、早く大人になりたかったはずが、誕生日が来るのがうれしくなくなる。特に女性は、人生の盛りは10代20代、それを過ぎたら価値が減じていくばかりであるかのような考え方に、支配され縛られがちですよね。
ただ、年齢の境界は加齢によりあいまいになることもあります。同窓会で再会した先輩と、ため口で盛り上がる。うんと年上の友達ができたり、自分が産んでいてもおかしくない年の人とワイワイやったり。中年ならではの楽しみです。
この感覚は、私が会社員を辞めたことも関係しているかもしれません。いま住んでいる米国では、日本ほど年齢を意識することがありません。履歴書に年齢は書かないし、めったに話題にも上らない。一緒に働く人の実年齢を知らないこともザラです。
「今時、上座も下座もない」はずが
一方、日本社会では、まだ年功序列が根を張っている。40代になり、「その場で自分が最年長」という経験も増えて、以前は見えなかったことに気付くようになりました。
たとえば、若い頃は「今夜は…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル