子どもと一緒に滑り台を滑った大人がけがをした法的な責任は誰にあるのか。この点が争われた訴訟の判決で、名古屋地裁は24日、大人が子どもと一緒に滑ることが常態化し、対象年齢の表示が目立つ場所になければ管理者にも責任があるとの判断を示した。その上で、問題となった滑り台を設置した愛知県に約190万円の賠償を命じた。
この滑り台は県営あいち健康の森公園(大府市)にある全長43メートルの「ロングスライダー2」。判決によると、原告の男性(当時33)は2017年10月、子どもを足の間に挟んで滑り出し、子どもを抱くために手すりをつかめない状態で加速したままカーブに突入。飛び出した足が周囲を覆う格子とネットとの間に挟まれ、足に大けがを負った。男性は構造上、安全性を欠いていたなどとして管理者の県に約1800万円の賠償を求めていた。
判決は、インターネット上で大人も使っているとの書き込みが多数存在し、子どもと一緒に滑る動画も公開されていたと指摘。その上で、県側は大人と子どもが一緒に滑ることを予測できたとし、大人に危険がある造りだったとして県の過失責任を認めた。
一方で、判決は滑り台の周囲には対象年齢は6~12歳で、手すりを必ず持って滑るよう求める注意書きもあったと指摘。男性にも問題があったとし、8割の過失相殺が相当と結論づけた。県は事故後、滑り台の入り口付近にも、対象年齢などを記した注意書きを設置した。(高橋俊成)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル