安倍晋三首相が大阪城の復元時にエレベーターを設置したのは「大きなミス」と発言したことが波紋を呼んでいるが、首相は2日、自身の発言について「遺憾だ」と述べた。自民党の萩生田光一幹事長代行と党本部で会談した際に語ったという。萩生田氏が記者団に明らかにした。首相は「取りようによっては、障害者や高齢者に不自由があってもしょうがないと聞こえるかのような発言をしたことは、ちょっと遺憾だ」と伝え「バリアフリー社会に異を唱える発言ではない」とも語ったという。
これに対しSNSなどでは3日までに、「遺憾」という言葉に違和感を唱える声が相次いだ。「自分で自分の発言に対して『遺憾』って言ったの? 変すぎないか?」といった疑問や、「遺憾には謝罪の意味はない」「遺憾とは相手や第三者の発言に対して、残念の意味」「自分の発言に『遺憾』だなんて、日本語を知らない」などの指摘も続いた。
「遺憾」とは一般的に「残念である気持ち」を表す言葉で、日本では政治や外交の場でよく使われるが、相手の発言や行為に対し、きつすぎない範囲で不満を伝えるために政治家や外交当局者が使っていると筆者はとらえている。自分の発言に対して使った例を聞いたことはあまりなく、もし自分に使うとすれば、何か他人事の発言のようにも感じる。
安倍首相自身も6月5日の参院本会議で、北方領土へのビザなし交流訪問の際、戦争で取り返すことの是非に言及した丸山穂高衆院議員の発言について、「元島民の気持ちを深く傷つける遺憾極まりないものだった」と「遺憾」を使い批判したが、まさにこうした場合には違和感は少ない。言葉尻を捕らえるわけではないが「言葉が武器」とまで言われる政治家なのだから、その発言には重みがあってほしいと考える人は多いのではないか。 第一、首相は何に対して「残念」だと思ったのか。自分の真意が伝わらなかったことだとすれば、そう丁寧に説明すべきだった。
首相は6月28日夜、20カ国・地域首脳会議(G20大阪サミット)の夕食会で、大阪城に言及。大阪城天守閣を約90年前に復元した際に「一つだけ大きなミスを犯した。エレベーターまで付けてしまった」とあいさつしたが、ネット上などで「障害者への配慮が足りない」といった批判が集中。参院選を前に共産党や立憲民主党からも批判の声が相次いだ。愛知県内の障害者団体も発言に抗議、真意を問う公開質問状を首相宛てに郵送した。 (共同通信=太田清)
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