平日の朝、7時25分から30分間、大阪府枚方市の住宅街に、声がひびく。
「おはようございます」
「行ってらっしゃい」
声の主は、おそろいの黄色い帽子をかぶった3人の男性。登校中の子どもたちへ、通勤を急ぐ大人たちへ声を掛ける。
みな70歳代。3人いっしょに近くの小学校がある日に登校を見守るのは、もう7年になる。
昨年12月半ばの早朝。
この日は、いつもと少しだけ違うことがあった。
後部座席に保育園児と思われる男の子を乗せた母親の自転車が通った。毎朝、通りすがりに大きな声であいさつしてくれる子だ。
「おはようございます!」
通り過ぎるはずの自転車を止めると、母親が言った。
「今年はいつまで立っていらっしゃいますか?」
3人は、小学校の2学期の終業式がある22日だと答えた。
迎えた22日の朝は、いつにもまして寒かった。
午前7時20分ごろ、あの自転車が来て、止まった。いつもよりちょっと早い、何かあったんか?
「仏壇に供えました」
後ろの座席にいる男の子が…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル