安倍晋三元首相が銃撃され死亡した事件では、山上徹也容疑者の動機やその背景をめぐってさまざまな考察が加えられている。社会学者の大澤真幸さんは「まなざし」をキーワードに考える。
――今回の事件をどう受け止めましたか。
「まず連想したのが、1921年に当時の銀行王、安田善次郎が暗殺された時の読売新聞の記事。『大久保利通の死、(初代文部大臣の)森有礼の死、(民権家の)星亨の死。それぞれの時代色を帯びた死であるが、安田爺の死の如(ごと)く思想的の深みはない』と。つまり安田善次郎暗殺には思想的な深みがあった、と評していたわけです。今回の事件はその逆だ、と感じました」
――逆、とは。
「動機が政治的なものではな…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル