7月5日投開票の東京都知事選が告示され初の日曜となった21日、各候補者は都内各地で新型コロナウイルス感染対策を柱とした選挙戦を行った。れいわ新選組代表の山本太郎氏(45)らが街頭演説などに臨んだ一方、現職の小池百合子氏(67)は事前に「街頭には立たない」と宣言した通り、ネットによる映像の配信だけ。これまでもSNSのみの選挙戦を展開しており、どこまで通用するのかと注目が集まっている。 初の選挙サンデーとなった21日、小池氏はツイッターの自身のアカウントに設けた「#小池ゆりこに物申す」で都民から募った質問への回答をユーチューブにアップした。2016年都知事選での公約「7つのゼロ」が未達成との指摘に答える形で、「満員電車ゼロ」について約5分間の映像を配信した。 駅で降りられなかった小池氏の満員電車体験が中東留学のきっかけだったとし、「エジプトのカイロは満員バスで屋根にまで人が乗っていて、むしろ苦労した」と一部で報じられている「カイロ大卒業疑惑」を逆手に取る形で説明。線路の複々線化やテレワーク導入支援などに取り組んでいるとした。多摩地区と特別区の格差をなくす「多摩格差ゼロ」についても、財政支援予算を拡充していると強調した。 前日20日には、インスタグラムで自宅からライブ配信。愛犬のヨークシャーテリア「ソウちゃん」を抱いて「長寿犬なんですよ。17歳です」などと紹介し、親しみやすさを打ち出した。 小池氏は12日の出馬会見で「(コロナ対策で)密を避けるよう呼び掛けている私自身が(聴衆を集めて)密を作りかねない。街頭に出ることは考えていない」とリモート選挙戦を宣言。ここまでSNSのみで自身の政策などを訴えている。 一方、山本氏ら他候補はネット配信も活用しながら街頭演説を行う従来型の戦術をとる。政治評論家の有馬晴海氏は「やはり選挙では街に出て顔を出し、頑張る姿を有権者に見せることは必要」と話す。ただ小池氏にはコロナ禍でのメディアへの露出が多いという特別な背景があると分析する。感染拡大防止へ陣頭指揮を執るイメージが都民に浸透し、知名度は圧倒的となっている。 有馬氏は「多くの有権者が『小池氏は省エネで金も使わないで当選しようとしている』と捉えるようになれば、街頭に出ることを考えざるを得なくなる」。元熊本県副知事の小野泰輔氏(46)が小池票を一定程度奪うと見られる中、「いつまでネットだけで我慢できるか」と指摘した。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース