千葉県野田市の小学4年、栗原心愛さん(当時10)が虐待死したとされる事件で、傷害幇助罪に問われた母親のなぎさ被告(32)に対し、千葉地裁(小池健治裁判長)は26日、懲役2年6カ月保護観察付き執行猶予5年(求刑懲役2年)を言い渡した。
助けを求めても大人たちに見過ごされ、親から虐待され続けた末に亡くなったとされる心愛さん。なぜ、事件は起き、幼い命を救えなかったのか。県警、千葉地検、県、県柏児童相談所、野田市などへの取材や、裁判での証言などをもとに、事件の全容に迫る。
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「毎日地獄だった」
2017年9月23日。千葉県野田市にある父方の祖父母宅で暮らしていた栗原心愛(みあ)さん(当時10)は、沖縄から遅れて引っ越してきた母親のなぎさ被告(32)=傷害幇助(ほうじょ)罪で懲役2年6カ月保護観察付き執行猶予5年の判決=に久しぶりに会い、訴えた。
さらに、暗い表情で、父親の勇一郎被告(41)=傷害致死罪などで起訴=から受けた、ひどい扱いを打ち明けた。「夜中にずっと立たされ、(次女の)世話をさせられた」。祖母もその年の7月ごろから、夜中に立たされる姿を目撃した。「5時間ぐらい立たされている」と聞かされた。
勇一郎被告による虐待は、遅くともこのころから始まったとされる。心愛さんは助けを求めた。
昨年9月、暴力を受けた心愛さんは、なぎさ被告のスマートフォンで祖母に電話をかけた。叔母が「通報すべきだ」と訴えたが、祖父母は「虐待を認めたくなくて」通報せず、心愛さんを預かることにした。
この年のクリスマスのころ。両親との同居が再開し、さらなる「地獄」が始まった。
「帰りたくない」。心愛さんは…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル