2020年3月20日、宮城県東松島市の航空自衛隊松島基地。東京五輪の聖火はこの日、民間の特別輸送機で日本に到着した。強い風が吹く中、自衛隊のブルーインパルス(ブルー)が5色のスモークで五輪のシンボルを描き、出迎えた。特別機とブルー。面識がないはずの2人のパイロットはこの後、「小さな奇跡」に驚くことになる。
このとき、ブルーの飛行を率いたのは当時の隊長、福田哲雄さん(44)だった。飛行から3日後、送信元不明のメールが届いた。
「あの夜の偶然の出会いがただの偶然ではなかったように思えました」
7カ月前の19年8月。福田さんは同僚と2人で北海道千歳市の炉端焼きの店にいた。昼に千歳基地で開かれた航空祭の反省会だった。囲炉裏の一辺に並んで座ってブルーの今後の活動などについて意見交換していると、東北で大きな地震が起きたことを伝えるニュース速報が流れた。すぐに所属先の松島基地に電話して隊員とその家族の無事を確認し、ほっと息をついたときだった。
「宮城からですか」
隣の席にいた中年男性が声を…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル