松山市の三津浜港からフェリーで約1時間。右舷前方に島の集落が見えてくると、フェリーは汽笛を2回鳴らし、速度を緩めながら港に入った。乗り降りする人はまばら。だが、12年前までは、春になると都会の小学生らが期待と不安を胸に、この島に降り立った。
忽那諸島の東部に位置する野忽那島(のぐつなじま)。周囲約6キロ、人口75人。少子化で、島唯一の小学校だった松山市立野忽那小学校は2009年の春、休校になった。同時に、21年半にわたって京阪神を中心に延べ120人の小学生を受け入れてきた「瀬戸内シーサイド留学」制度も、終わりを告げた。
「里親としての生活は緊張感もあったけど、生活に張りがあったし、子育ての楽しみがずっとあった」。島のミカン農家、内藤久司さん(73)は懐かしむ。
留学制度創設時のPTA会長。…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル