東京電力福島第一原発事故後、被曝(ひばく)量が多かったアカマツほど、成長を促す植物ホルモンの濃度が低下し、成長が抑制された可能性があることが福島大のヴァシル・ヨシェンコ教授(放射生態学)らのチームの研究で分かった。10月14日、科学誌に論文を発表した。
チームは、放射線の影響を受けやすいアカマツに着目。2014年から今年にかけ、放射線量が高い「帰還困難区域」の大熊、浪江両町の各2地点と、線量が低い福島大(福島市)で自生するアカマツの形態や染色体、ホルモン濃度を調べた。アカマツの被曝量は、樹木内の放射性セシウム濃度や周囲の空間線量率から推計。被曝量と形態異常などが発生する頻度との関係を分析した。
すると、木の幹の形成に必要と言われるホルモン「オーキシン」の濃度は、福島大に自生する形態が正常のグループで最も高く、帰還困難区域に自生するグループでは低かった。同じように幹の成長を促すホルモン「ジベレリン」の濃度は、被曝線量が多いほど低下する傾向にあることがわかった。
また、被曝量が多いほど、染色…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル