米田悠一郎
広島への原爆投下後、放射性物質を含む「黒い雨」を浴びた住民らを被爆者と認めた14日の広島高裁判決。
長崎地裁でも、国が定める被爆地域の外にいたために被爆者と認められていない人たちが、被爆者健康手帳の交付などを求めて起こした「被爆体験者訴訟」が続いている。原告団長の岩永千代子さん(85)=長崎市=は14日に長崎市で記者会見し、広島高裁判決について「長い真っ暗なトンネルから光が見える判決だ」と笑顔を見せた。
岩永さんは2007年から原告として裁判に関わる。17年に最高裁で敗訴が確定した後に再提訴し、いまも43人の仲間と争っている。岩永さんは「命の問題。広島高裁判決を受けて、広島、長崎で救済するという政治判断をしてほしい」と国に求めた。
原告団の三宅敬英弁護士は広島高裁判決について、たとえ「黒い雨」を浴びていなくても放射性微粒子が入った水を飲むなどして「内部被曝(ひばく)」による健康被害を受ける可能性があったと指摘した点に注目した。長崎の「被爆体験者訴訟」では、米軍が調べた放射線量の記録をもとに、原告が放射線を受け、健康被害につながっていると主張している。三宅弁護士は「長崎でも全員救済の道が開ける」と評価した。
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル