中小企業や小規模事業者の後継者不足は全国に共通する問題だ。特に地方では、後継者がおらず廃業するケースが後を絶たない。そんな中、地方への移住希望者を後継者に迎える動きが盛んになっている。地域に根ざす「小商い」の存続と、人口減少対策が同時にできるため、積極的に取り組む自治体も増えている。
岡山県美作市の梶並地区に、釣り場や川魚の養殖を営む有限会社「右手(うて)養魚センター」がある。1971年に創業したが、後継者が見つからず、市を通じての募集も難航して、一度は事業所の閉鎖を決めた。
そこへ宇都宮健二さん(47)が手を挙げた。2020年秋、市の「地域おこし協力隊」として兵庫県姫路市から移住し、センターの後継者として働き始めた。創業メンバーの右手信幸さん(75)は「いい人が来てくれて良かった」と胸をなで下ろす。
「後継者求む」 ネットで全国に情報発信
縁をつないだのは、小規模事業の承継支援サービス「ニホン継業バンク」だ。自治体と提携し、後継者を求める事業者の情報をネットで発信して、全国の移住希望者とつなぐ。美作市では、市の移住推進策を担う元協力隊員がバンクの活用を提案し、宇都宮さんを含む6人が応募した。市の担当者は「発信力が全く違った。『うちも頼む』という相談が増えています」。
和紙の原料のミツマタを梶並…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル