東京オリンピック(五輪)・パラリンピックの選手村として使った後に分譲される東京・晴海のマンション群「晴海フラッグ」をめぐり、購入した人たちと売り主との間で溝が広がっている。大会延期で引き渡しも1年程度遅れる見通しだが、購入者によると、売り主側は「予見できなかった」として補償を拒否。購入者の一部は近く、賠償を求めて東京地裁に民事調停を申し立てる。
民事調停には約20人が参加する予定。購入者側の代理人の轟木博信弁護士によると、購入者には昨年6月下旬、引き渡しが1年程度遅れるとの通知が売り主に届いたという。購入者は当初、引き渡し延期に関する説明会の開催などを求めたが、売り主側は拒否。延期に伴ってかかる家賃分などの補償についても「五輪延期に伴う引き渡しの遅延は、法律上、補償が必要な場合に該当しない」と拒んでいるという。
轟木弁護士は「購入者は新しい生活に備え、準備を始めていた。現実に多大な影響が生じる以上、相応の補償がなされるべきで、一方的に延期を受け入れるよう求める対応はおかしい」と主張している。
晴海フラッグの広報を担当する三井不動産広報部は「必要な情報を随時お伝えし、対応させていただいている。全体での説明会は予定しておりませんが、お客様にあわせてご説明する場を設け、対応しております」とし、今後の補償については「お客様との個別の契約内容に関わる話ですので、回答を差し控えます」とした。
入居は今も楽しみだが…
「2024年に延期も」「森会長、再延期は『不可能』」――。晴海フラッグを購入した都内の50代男性は五輪を巡るニュースを見るたび、ため息が出る。「また延期になったら入居時期はどうなるのかと、どうしても考えてしまう」
目の前に遮るものがない景色が…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル