新型コロナウイルスの感染が拡大するなかで迎えた憲法記念日。感染防止を理由に外出や営業の「自粛」ムードが強まっていることに、志田陽子・武蔵野美術大教授(憲法)は異議を唱える。憲法で保障された権利と、それを制約する「公共の福祉」のバランスをどう考えるべきなのか。
補償なく休業「強制」、おかしい
――今の「自粛」の何が問題なのですか。
何が良くて何がダメなのか基準がはっきりしないため、行き過ぎた萎縮や圧力が生まれている。一斉休校中に子どもを公園に連れて行っただけで、警察に通報する人が相次いだ。感染した人を「殺人鬼」と表現した議員もいた。過剰な正義感は隣人を追い詰め、差別を生む。外出自粛は強制ではなく要請なのに、東京では警察が新宿・歌舞伎町などで巡回を始めた。
――警察も強制にならないよう配慮しているようですが。
警棒を手にした「お願い」は威嚇であり、強制と受け止める人が多いだろう。
営業できなければ生きていけな…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル