荻原千明
滋賀県日野町で1984年、酒店経営の女性が殺されて金庫が奪われた「日野町事件」で、有罪とした裁判をやり直すか審理中の阪原弘・元被告の長男弘次さん(62)が17日、墓参りした。最高裁決定を待つ日々で、「きっと、もうすぐやり直しの裁判が始まって、無罪判決が出るよ」と墓前で語りかけたという。
元被告は任意の取り調べで自白したとして88年に逮捕された。裁判では無罪を訴えたが、2000年に強盗殺人罪で無期懲役の判決が確定。裁判をやり直す再審を求めたが、受刑中の11年3月18日に75歳で亡くなった。
その後、遺族が「死後再審」を求め、18年に大津地裁が、23年2月に大阪高裁がそれぞれ再審開始を認めたため、検察が最高裁に不服を申し立てた。
弘次さんは墓を丁寧にぬぐい、「父が愛していた」という日本酒をかけた後に手を合わせた。検察の申し立ては退けられると信じる一方、一抹の不安もあるといい、「父ちゃん、助けてや。力貸してや」と祈ったという。
弘次さんの母つや子さんは86歳になった。弘次さんは墓参り後の報道陣の取材に、「母が生きているうちに再審無罪を確定させたい。そのためにも最高裁には速やかに、検察の特別抗告を棄却していただきたい」と話した。(荻原千明)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル