聞き手・酒本友紀子
福島県塙町の民家で今年2月、女性(当時75)が殺害された事件で、強盗殺人や窃盗などの罪に問われた孫で建築板金業の男(19)の判決公判が15日、福島地裁郡山支部であり、求刑通り無期懲役が言い渡された。
4月に少年法が改正され、犯行時に18、19歳だった場合は「特定少年」と位置づけられ、起訴されると実名報道が可能になった。実名公表された特定少年に対する判決は福島県内で初めて。専門家は特定少年の裁判審理や判決をどうみたのか。福島大の高橋有紀准教授(刑事法)に聞いた。
――判決の印象は。
「量刑判断について、少年法の改正前は被告の成育環境や更生可能性を考慮したうえで、死刑や無期懲役はやむを得ないと導くのが一般的でしたが、今回はそうした点に触れていません。少年法の健全育成の理念のもとにある配慮が後退した印象です」
――裁判の進行はどうみましたか。
「重い量刑を判断する少年事件ではこれまで、家庭裁判所の調査記録を証拠採用したり、心理や矯正の専門家に証言してもらったりという場面が多くありました。今回は争点だった殺意の有無を手厚く扱った一方、少年であることに起因する事情をそこまで検討しなかったのが特徴ではないでしょうか」
「少年が傍聴席から見えない…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル