政府が在日米軍駐留経費の日本側負担(思いやり予算)を定める特別協定改定で日米交渉に臨む態勢を強化することが分かった。在日米軍の安定的な駐留に欠かせない周辺自治体と住民の理解と協力を得るための枠組み変革を実現するのが目的で、変革は「地元」と「環境」がキーワードだ。 防衛省はその布石として来年度予算概算要求に(1)地元、在日米軍との協力担当部署の再編成・集約(2)環境に関する部署の一本化(3)関係幹部ポストの新設-という組織改編を盛り込んだ。 改定交渉は日米外務・防衛当局の審議官級協議で行う。これまでは対米外交を所管する外務省北米局参事官と日米防衛協力を所管する防衛省防衛政策局次長が出席するのが通例だったが、今回の交渉からは新たに防衛省地方協力局次長を適宜、出席させる方針だ。 地方協力局は在日米軍施設に関係する問題や地元の要望を政府内で最も把握している。その知見に基づく地元対策を思いやり予算に反映させることが交渉態勢強化の主眼で、特に環境汚染対策の実効性を高める。 環境汚染では4月に米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾=ぎのわん=市)から高濃度の有機フッ素化合物(PFOS=ピーフォス)を含んだ泡消火剤が流出。PFOSは地下水汚染や健康への悪影響が懸念され、他の在日米軍施設周辺でも流出した疑いが指摘されており、地元の不安感は強い。 在日米軍施設は管理権が米側にあり、日本側の対策には限界があるが、米軍に環境汚染事故を起こさせないよう枠組み変革で思いやり予算に新たな仕組みを設けることを想定している。 仕組みの例として、思いやり予算のうち施設の整備や改修など米側の要望の強い提供施設整備費に環境汚染対策費を組み込む案がある。それにより、「米軍が環境汚染事故を起こせば汚染物質除去や再発防止策に経費を優先的に使い、米側の要望事項の経費を削減する強制力を持てる」(政府高官)という。(半沢尚久)
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