台風21号に伴う記録的な大雨に見舞われた千葉県では、土砂崩れや浸水で、特別養護老人ホームや住宅街が一時孤立状態となった。人々は急な増水の恐怖を口々に語った。
27日午後、長柄(ながら)町の特養「ほしの郷」は、全入居者39人をバスやワゴン車で隣町の系列施設に避難させた。最高齢の107歳の女性は、「お願いね」と職員に声をかけ、右手を上げてバスに乗り込んだ。大雨の影響で、1階部分が一時20センチほど浸水。復旧には少なくとも1カ月以上かかる見込みだ。
25日午前10時、猛烈な雨の中、介護職員の斉藤和代さん(56)が出勤した。すでに施設の中庭には水がたまり始めていたが、浸水はしていなかった。
わずか1時間後。「水が入ってくる。早く逃げましょう」。入居者を風呂に入れていた斉藤さんのもとへ職員が走ってきた。中庭に通じるガラス戸から外を見ると、床よりも外の水位が上回っていた。
すぐに職員総出で1階の入居者20人の避難を始めた。「大変だ! 早く2階に」。職員の声が飛び交う中、無我夢中でベッドの入居者を車いすに乗せ、エレベーターへ。あいにくこの日は、停電に備えて比較的体重がある人をあらかじめ1階に移動させていた。台風15号の際、県内では建物の2階部分が強風で被災するケースが相次いだためだ。
そのうちガラス戸の下から水が…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル