相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で2016年7月、入所者ら45人を殺傷したとして殺人罪などに問われている元職員、植松聖被告(29)の裁判員裁判が8日、横浜地裁で始まります。19人の犠牲者のうち、5日間の短期利用中に襲われ殺害された男性(当時41)の遺族が、弁護士を通じて手記を朝日新聞に寄せました。子どものころに迷子になり、探し当てた家族に泣いて抱きついたことなど、生前のエピソードをつづり、「息子に会いたいという思いは強くなるばかり」といいます。
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息子は、生まれたと同時に、ダウン症であること、3年くらいしかもたないだろうということをお医者さんから告げられました。
それでも授かった大事な命ですから、夫婦で「いい薬がないか」「いいお医者さんはいないか」と一生懸命に探しました。
そうしたところ、主人の恩師の奥様が看護師をしていらして、いろいろと調べて下さいました。そして千葉に良い病院があるとご紹介頂きました。
その後、当時在住していた実家から千葉まで、その病院に通いました。
実家は千葉からは距離があり、通院するのは大変だったので、少しでも通院を楽にするため、家族3人で相模原に越すことにしました。
こうして息子は相模原で、幼稚園から、養護学校の高等部まで通うことになったわけです。
私たちはご近所に息子のことを隠したりせず、普通に生活をしていましたので、ご近所の方からは私たちに対して、声をかけてもらったり、気にかけて頂いたりしました。
近所の方々に支えて頂いて生活でき、心強く思ったものです。
ある日、「このごろ姿を見ませんね」と声をかけられ、亡くなったことを話したところ、施設に入所したのではと思われていました。
亡くなったことを聞いて驚かれ、お花を頂戴(ちょうだい)したりしました。
毎日デイケアセンターに通う姿を温かく見守って下さったことに、あらためて感謝をしました。
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル