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GoToトラベルをめぐり、これまで大阪と札幌を目的とした旅行は除外となっていましたが、菅義偉総理大臣は27日、札幌市と大阪市からの出発について、利用の自粛を呼び掛けました。感染制御が専門の順天堂大学・堀賢教授に話を聞きました。 (Q.あくまでも「利用の自粛にとどめたい」という発言について、どう受け止めていますか?)
順天堂大学・堀賢教授:「ブレーキの効きが全く足りないと思います。最後のフルブレーキのチャンスは、21日の分科会翌日だったと考えています。今回、出発するところも自粛とありますが、停止・除外しないといけないと思います」 (Q.東京都では27日、過去最多570人の新規感染が確認されました。この数字をどう見ていますか?)
順天堂大学・堀賢教授:「1人あたり生み出す2次感染者数の指標『実効再生産数』は、数が大きければ大きいほど、感染が急拡大していることを示します。その指標でみると、北海道が1.15、東京が1.67、愛知が1.40、大阪が2.24となっています。第1波や第2波の時は1点台の前半で、今回は非常にペースが早いです。感染拡大のペースが早いということは、多くの患者さんがひと時に病院に押し掛けることになります。そうすると、いくら医療体制を拡充していても受け止めきれない可能性があります。そうした場合、病院の医療を受けられない人があふれ、死亡率が高まる懸念があります」 (Q.東京都で28日から始まる時短要請の効果はどれだけあるのでしょうか?)
順天堂大学・堀賢教授:「今は重症化しやすい高齢者が感染しないような施策をうつべきです。そもそも、時短要請によって、飲酒機会が減るのは若年者。まわりまわって高齢者への感染機会が減るのは、もっと先になってしまうので、今そんなことを悠長に待っている場合ではありません」 現在、重症者数は全国で増えていて、5日連続で過去最多を更新し、26日は435人に上りました。26日の死亡者数は29人でした。第1波の際の死者数は、連日20人ほどで推移していましたが、その後、一定の割合で推移していて、重症者の急増に比例して増えていたわけではありませんでした。 (Q.今後、重症者数、死亡者数はどうなっていくと予想されますか?)
順天堂大学・堀賢教授:「第1波や第2波のころのデータを見ると、重症者は感染者の増加から2週間程度遅れて増えてきました。今、重症者が増え始めたので、死者はこれから遅れて増えてくるだろうと思っています。今回は高齢者が多く感染しているため、第1波や第2波よりも重症者が出ることが予想されます。治療法は徐々に開発されてきていますが、まだ特効薬はなく、重症化した後の患者が一般病棟に戻れるとは限りません。こうなると、どんどんと重症化する人が控えていくなかで、病床がはけていかないという状況になります」 現在、東京都の確保病床数は2640床で、1504人が入院しています。このうち、重症患者用の病床数は150床のうち、61人が使用し、占有率は40.6%となっています。 (Q.東京都は重症患者用の病床数を300床まで増やすとしていて、まだ余裕があるように見えますが、いかがですか?)
順天堂大学・堀賢教授:「61人というのは新型コロナウイルス感染症だと分かった人のなかで、人工呼吸器をつけている人の数です。実際のところは中等症ですが、これから悪化するかもしれない患者や、運ばれてきた時に重症肺炎で、原因が新型コロナかもしれないという人も入っています。ですので、実質は倍の120人ほどが入っていて、8割ほどが埋まっていて余裕がないというのが現状です。12月7日ごろまでには、重症患者用の病床数が300床の体制になると思いますが、12月4~6日は我慢の3連休の2週間後にあたります。ですので、病床整備が間に合わず、パンクする可能性もあると思います。もし供給体制のバランスが崩れると、重症者がそのまま死につながり、急激に死者が増える可能性が出てきます」
Source : 国内 – Yahoo!ニュース