神戸市北区で2010年に高校2年の堤将太さん(当時16)を刺殺したとして、殺人の罪に問われた当時17歳だった被告の男(30)の裁判員裁判が12日、神戸地裁で結審した。検察側は懲役20年を求刑。弁護側は被告が当時、心神耗弱の状態にあったなどとして懲役8年が相当だと主張し、結審した。判決は23日に言い渡される。
起訴状などによると、被告は10年10月4日夜、同区筑紫が丘4丁目の路上で、堤さんの鎖骨付近などをナイフで刺して殺害したとされる。
これまでの公判で検察側は、被告が交際相手への怒りを募らせる中で、交際相手が好みそうな雰囲気の若者に憎しみを抱いたと指摘。事件当日、雰囲気の似た堤さんを路上で偶然見かけ、殺害したと主張した。
弁護側は、被告が事件を起こしたのは幻聴や妄想が影響したとして、心神耗弱を主張。被告は「ナイフで刺すと死んでしまうかもしれないとか、痛いとかは全くわからなかった」と述べ、殺意を否認していた。(黒田早織、杉山あかり)
事件をめぐる動き
2010年10月4日 神戸市北区の路上で堤将太さん(当時16)が刺殺される
同年10月10日 現場近くの側溝から凶器とみられるナイフが見つかる
12年12月 有力な情報提供者に最高300万円を支払う「捜査特別報奨金」の対象に。兵庫県警が容疑者の似顔絵を公開
21年8月4日 兵庫県警が男を殺人容疑で逮捕
同年8月20日 神戸地検が男の精神状態などを調べる鑑定留置を開始
22年1月28日 鑑定結果などを踏まえ、神戸地検が男を殺人罪で起訴
23年6月7~23日 神戸地裁で裁判員裁判
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル