ああ、また冬が来た。2月が近づくにつれ、滝村規枝代(きしよ)さん(56)は憂鬱(ゆううつ)になる。15年前の2月5日、盛岡市で一人の男の子の行方がわからなくなった。そして今年もあの日が迫る。離ればなれになった長男隆規(たかのり)君(当時7)のことを考えずにはいられない。
よく晴れた月曜日の昼だった。発達や言葉の遅れがあった隆規君は養護学校に通っていた。その日は学校が休みで託児所にいた。職員や他の子どもと一緒に近くの川のほとりで雪遊びを始めた。走り出した1人の子どもを連れ戻そうとその場を離れた職員が戻ると、そこに隆規君の姿はなかった。
夫の隆浩さんと義母(83)と義父、長女(29)と隆規君の6人暮らし。隆規君は一家の太陽だった。好きな色は黄色で、弁当のランチョンマットが黄色でないと大泣きした。肉料理が好きで、元気いっぱいで、学校から帰ってきてしばしば2時間も3時間も規枝代さんと散歩した。
「じっとしていない」という隆規君の活発さを知っていたがゆえに、規枝代さんは行方不明の連絡を受けた時は「またか」と思った。ただ今回は様子が違った。上空を飛ぶヘリコプターを見て冗談交じりに「うちの子を探しているんですか」と聞くと肯定され、ただ事でないと知った。
徐々に日が暮れる。「いなくなって何時間経った」と時計を見るたびに、不安が募った。すぐに戻るという期待は消えた。
責め合う家族、ネットでは中傷
これまで会話の中心だった隆…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル