手書きの自筆証書遺言を法務局へ預けられる制度が7月に始まる。これまでは自宅などで自ら保管しなければならず、紛失や改ざんの恐れがあった。昨年は戦後最多の138万人が亡くなるなど相続が大量に起きる時代に入っており、遺言の使い勝手をよくして「争族」とも呼ばれる遺族間の紛争などを減らすねらい。
遺言は本人だけで書ける自筆証書と、法律の専門家の公証人とつくる公正証書の主に2方式ある。公正証書は内容の不備をなくせる一方で、手間と費用がかかる。自筆は手軽だがミスが起きやすく、遺族が見つけられなかったり、改ざんしたりする恐れもある。
このため、全国312の法務局が7月10日から1件3900円の手数料で預かる制度を始める。保管先は遺言者の住所地・本籍地・所有不動産のある地のいずれかの地域の局。本人が自ら出向いて手続きが必要で、1日に予約を始める。
手続き時に職員が日付や押印の有無など形式の不備をチェックする。自ら保管するより遺言が無効となる可能性は減るが、内容の相談はできない。「遺言を書く能力があるか、無理に書かされていないか、本人の意思を反映して正確に書けているかなどは判断できない」(法務省担当者)ため、預ければ有効と保証されるわけではない。
公正証書遺言は年11万件超作…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル