清野貴幸
障害者が作者か登場人物である作品を公募した「みんなが書く戯曲のコンテスト」の表彰式が2月26日、主催した鳥取市の「鳥の劇場」であった。最優秀賞は、東京都の小学校教諭たかはしひでかずさん(47)の「展覧会の絵」に決まった。
コンテストは文化庁と鳥の劇場が主催。鳥の劇場は約10年前から障害の有無に関係ない演劇創作にも取り組んでいて、書くことによる障害者の舞台参加などを狙いに初めて実施した。
公募したのは、上演時間5~10分程度の短編戯曲で、障害者手帳の交付を受けた人が書く▽物語中に障害者が登場する、のいずれかの条件を満たす作品だ。
鳥の劇場によると、昨年9月から3カ月間の応募期間に全国から244作品が集まった。同劇場芸術監督の中島諒人さんら6人が選考委員となり、初代の入選6作品(最優秀、優秀、入選4)が決まった。
最優秀賞の「展覧会の絵」は、児童が描いた絵の展覧会を準備する教師2人のやりとりが物語の中心で、障害者が登場する。絵の人物の指が5本ないと不自然だとして、確認の徹底を指摘した教師に対する同僚の違和感を描いている。たかはしさんは教育現場で実際に感じた疑問を元に書き上げたという。
職務の傍ら、教員仲間や教え子と夏休みを中心に演劇活動をしているというたかはしさんは、次女の詩葉(ことは)ちゃん(1)を抱っこしながら表彰式に臨み、「これからもいい作品を世に出していけたら、(このコンテストが)皆さんに伝わるのではないか。がんばりたい」とあいさつした。取材に対し、「演劇は大都市中心だが、地域で有意義な活動をしている劇場にも目を向けたい」と話した。
優秀賞はモスクワカヌさんの「Bamboo」だった。入選6作品は今春、障害者がかかわる舞台の取り組みで先行している米ニューヨーク州のクイーンズシアターで、秋には鳥の劇場でリーディング上演(朗読形式での上演)される。(清野貴幸)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル