指導者が選手を怒るのは禁止、相手や審判へのヤジもダメ。違反した場合は大会役員が注意します――。そんなルールを定めた小学生の野球大会が岐阜市で開かれている。「絶対に怒ってはいけない学童野球大会」と銘打ち、選手をどんどん褒める大会を始めた背景には、減り続ける野球人口の回復につなげたいという主催者の思いが込められている。
「オッケー、その調子」「大丈夫、思い切っていこう」。大会が開幕した今月10日、岐阜市の聖徳学園野球場には、監督やコーチが選手を励ます声が飛び交った。ホームにかえってくる選手には笑顔でタッチ。エラーしても、「いいよ、次もトライ」と決して怒らない。好プレーを見せた相手選手を拍手でたたえる場面もあった。
怒らない指導を学ぶ機会に
正式名称は「聖徳学園杯学童野球大会」。昨年に続いて2回目の開催で、岐阜聖徳学園大学などを運営する学校法人聖徳学園が主催する。発案したのは昨年まで同大硬式野球部の監督だった小山貴本さん(41)。
「自分が少年野球をしていた時はたくさん褒めてもらった。ミスを怒鳴りつける指導者を見るたび、それは違うと思ってきた」と話す。「大人から怒られたくないために練習するようになり、野球をする目的が変わってしまう。少年野球は入り口。そこが楽しくなかったら、続かなくなる」「怒らない指導を学ぶ機会ができれば」と、ずっと頭の片隅にあった大会を手探りで始めることにした。
野球人口が減る中、大会を発案した小山さんは、「楽しくプレーする場を用意したい」と考えたといいます。趣旨に賛同して、参加チームも増えていきます。
全日本軟式野球連盟によると、連盟に登録する小学生のチーム数(昨年度)は1万229で、岐阜県は259。2000年度と比べると、それぞれ3割、5割強と大きく減っている。
大会規則には、ベンチ入りの…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル