東京パラリンピックの採火場所に、障害者と職員ら45人が殺傷される事件が起きた相模原市緑区の障害者施設「津久井やまゆり園」が選ばれたことについて、事件の遺族や負傷者家族が場所の変更を求める文書を出した。違和感を持つのはごく自然――。13日付の要請書でこう訴えている。
市と神奈川県に対する要請書は、犠牲になった美帆さん(当時19)の家族と、重傷を負った尾野一矢さん(48)の父の剛志さん(77)の連名で提出。「多くの遺族また被害者・家族らも同じ気持ちでないか」としている。
要請書によると、市や県から採火について事前の説明はなく、遺族らは3月23日の報道で知ったという。美帆さんの家族は代理人弁護士に対し「家族が犠牲になった場所で採火が行われるのは違和感がある」「感覚のズレを感じる。自分の家族に置き換えて考えてほしい」と伝えたといい、その思いも要請書に記した。
相模原市は要請書の送付について「真摯(しんし)に受け止め、何らかの回答を出す方向で対応を協議する」との意向だ。市オリンピック・パラリンピック推進課によると、やまゆり園での採火が庁内で正式に承認されたのは昨年10月。以後、同園を運営するかながわ共同会とは協議を重ねてきたが、プランがより具体的になった段階で家族や遺族に説明することを考えていたという。課の担当者は「お話を伺ってから決めていないという点については申し訳ないと思う。今後、ご意見を伺ってから、同意を得られる形で詳細を決めていきたい」としている。(土屋香乃子、岩堀滋)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル